2019年文化勲章・文化功労賞受賞者

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政府は29日、2019年度の文化勲章受章者6人と文化功労者21人を発表しました。記事が少し遅くなりましたが、今年の文化勲章文化功労者をまとめてみました。

文化勲章

◎甘利俊一(あまり・しゅんいち)東大名誉教授。数理工学分野で世界に先駆けて情報幾何学を創設し、神経回路網理論研究でも卓越した業績を上げた。83歳。

◎坂口志文(さかぐち・しもん)大阪大特任教授。過剰な免疫反応の抑制をつかさどる制御性T細胞を発見し、自己免疫疾患治療に向け臨床応用に道を開いた。68歳。

佐々木毅(ささき・たけし)元東大学長。政治思想家の研究を基礎として現代政治分析に取り組み、1980年代以降の日本の政治に道筋を示した。77歳。

田沼武能(たぬま・たけよし)写真家。報道カメラマンとして活動を始め、国内外の子どもを被写体とした独自の世界を作り上げて写真家の地位向上に尽力した。90歳。

野村萬(のむら・まん、本名野村太良=のむら・たろう)能楽師狂言の魅力を国内外に伝え、「おしん」などテレビドラマにも出演、多くの人に感銘を与えた。89歳。

◎吉野彰(よしの・あきら)旭化成名誉フェロー。モバイル機器などに欠かせないリチウムイオン電池の基本構造を確立し、高い評価を得た。同時に文化功労者にも選ばれた。71歳。

文化功労者

佐藤忠男(さとう・ただお、本名飯利忠男=いいり・ただお)映画評論家。評論では平明な表現の鋭い問題提起が評価され、映画による国際交流に努めた。89歳。

石井幹子(いしい・もとこ)照明デザイナー。照明で空間をデザインして環境を活性化させることを提唱し、東京タワーや姫路城などのライトアップを手がけた。81歳。

猪木武徳(いのき・たけのり)大阪大名誉教授。労働経済学、経済思想、現代経済史・日本経済論の三分野にわたり、独創的な研究手法で卓越した業績を上げた。74歳。

◎馬場あき子(ばば・あきこ、本名岩田暁子=いわた・あきこ)歌人。古典的な流麗さを備えて説得力を持つ短歌を創作し、短歌の普及にも力を注いだ。91歳。

◎宇多喜代子(うだ・きよこ)俳人。精神性も社会性も悲喜も織り込む独自の俳句の方法を見いだし、著作では歴史の隙間に埋もれた無名の俳人も取り上げた。84歳。

大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)映画監督。夢や遊び心あふれる映画を創作し続け、故郷尾道が舞台の「転校生」や「時をかける少女」などで知られる。81歳。

◎金出武雄(かなで・たけお)カーネギーメロン大ワイタカー記念全学教授。顔に関する画像認識技術や自動車の自動運転で独創的な研究業績を上げた。74歳。

◎興膳宏(こうぜん・ひろし)京大名誉教授。中国古典文学の研究で優れた業績を上げ、日本のみならず中国・フランスでも高い評価を得ている。
小林芳規(こばやし・よしのり)広島大名誉教授。国語史学の分野で、先端をとがらせた木の棒「角筆」で書かれた文字を発見するなど学会に大きな影響を与えた。90歳。

◎近藤孝男(こんどう・たかお)名古屋大名誉教授。時間生物学の分野で、生物時計の特性がタンパク質の機能に基づいていることを明らかにした。71歳。

笹川陽平(ささかわ・ようへい日本財団会長。財団の常勤役員として、行政の手の届かない文化振興・社会貢献事業などでさまざまな課題の解決に取り組む。80歳。

◎佐々木卓治(ささき・たくじ)東京農業大総合研究所参与。作物ゲノム学の分野で、プロジェクトリーダーとしてイネゲノム全塩基配列を解読した。72歳。

◎田渕俊夫(たぶち・としお)日本画家。自然と時代を丁寧に考証した作品は装飾性と精神性を兼ね備え、日本画の確たる表現を築いたとして高く評価された。78歳。

◎宮城能鳳(みやぎ・のうほう、本名徳村正吉=とくむら・まさきち舞踊家琉球舞踊と組踊における女形の卓抜した技芸で、沖縄の文化の向上に貢献した。81歳。
萩尾望都(はぎお・もと)漫画家。少女漫画を多彩で深みのある内容表現が可能なジャンルへと発展させた。代表作に「ポーの一族」「トーマの心臓」など。70歳。

◎藤原進一郎(ふじわら・しんいちろう)元日本障がい者スポーツ協会理事。障害者スポーツの普及に尽力し、98年長野パラリンピックでは総監督を務めた。87歳。

宮本茂(みやもと・しげる)ゲームプロデューサー。任天堂のゲーム開発の中心人物。マリオシリーズなどで知られ、日本のゲームを世界に誇る文化に発展させた。66歳。

坂東玉三郎(ばんどう・たまさぶろう、本名守田伸一=もりた・しんいち)歌舞伎俳優。歌舞伎界を代表する女形として活躍し、新劇や海外戯曲にも出演している。69歳。

◎柳沢正史(やなぎさわ・まさし)筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長。分子薬理学の分野で、睡眠や覚醒を制御する神経伝達物質オレキシンを発見した。59歳。

渡辺美佐(わたなべ・みさ)音楽プロデューサー。アーティスト多数を世に送り出し、大衆エンターテインメントを担う渡辺プロダクションの黄金時代を築いた。91歳。

2019年秋の叙勲受章者は、今回最高位の桐花大綬章に伊達忠一参院議長(80)が選ばれた。俳優の柄本明さん(71)、泉ピン子(本名・武本小夜)さん(72)、歌手の水前寺清子(本名・林田民子)さん(74)、由紀さおり(本名・安田章子)さん(72)らには旭日小綬章が贈られた。