ツヴァイク著「バルザック」読了!

今日は9月16日、東京は晴れたり曇ったりです。気温は24度。

今は電子書籍の時代だから、紙の本を読む人は少なくなっているでしょう。この本は私が学生の頃、買った紙の本なのです。ページは500ページある。かなり大部な本です。学生時代に買って今まで全然読まないでいた本だが、気にはなっていたので、70を前に読んでみた。かなり容易に読め、有益でもあった。ツヴァイクの「伝記作家」としての十分な才能を感じました。

バルザックはフランスの偉大な文豪であるが、そんなに幸福な生涯を送った作家ではないことをこの本で知りました。生涯「借金」に苦しんだ。それも巨額な借金である。その返済のために、「金持ちで、裕福な貴族の夫人」を生涯にわたって探し求めた。顔はあまりこだわらなかった。そのため、死ぬ数年前に「ハンスカ夫人」という裕福で貴族の夫人と結婚した。それまでずっと独身である。

バルザックは50ぐらいで死ぬが、この時には「ほとんど盲目」であり、またたくさんの病気を抱えて死ぬのだ。バルザックの「弔辞」を詠んだヴィクトルユーゴ―は、バルザックの遺体を前にして「これは暗闇ではない、灯りなのだ」と述べている。

バルザックの親は、「まともな市民」だと思う。バルザックのほうが、あまりまともではなかったように思う。母は、バルザックの死後5年ぐらいたって死ぬのである。また、父親も、バルザックの処女作「クロンウェル」の失敗によって控えめになった息子を、「葡萄酒を水で割るようになった」といって息子を褒めている。まともで優しい父親だと思う。

結婚したハンスカ夫人の手紙の中で、「私には母はありません」といっているが、これは、ハンスカ夫人を娶るために言った言葉なので、母親には十分お世話になっているし、母親も十分それにこたえているのだから、十分母親はあったと思う。

バルザックが日本に紹介されたのは明治21年(1888年)、「尾崎行雄」によってである。