島崎藤村著「春」読了

こんにちは、虫眼鏡です。

今日は4月12日、東京は晴れです。気温は24度、湿度は58%です。真夏のような陽射ですね。

島崎藤村(1872年3月25日(明治5年2月17日) - 1943年(昭和18年)8月22日))の「春」を読了しました。「春」は、1908年4月7日から8月19日まで「東京朝日新聞」に連載された。藤村36歳ごろの作品。

「名作」だと思いました。作品に対して言われがちな「散漫で締まりがない」という言葉もこの作品には当たらない。中心に向かって集まっていく「力」があり、作品が締まっている。それと、主人公の一人で先輩の青木が自殺を遂げるのであるが、「自殺の魔手」からうまく解放されて、主人公の岸本の将来に明るい「燭光」が差し込まれている。それで私は「名作」だと思いました。

岸本は「藤村」自身の事なのである。青木は北村透谷のことで、透谷は「自殺」をしている。明治時代の文学史のこの事件から、藤村は創作の意欲を見出したのであろう。先輩の透谷の自殺は、衝撃的な事件で有ったろうし、「後追い自殺」という事態も十分に考えられた。そのような事態に至らなかった「藤村の心の動き」は名作に値すると思う。